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第八十五話 どうして俺を大事にしてくれるのですか?

last update Date de publication: 2026-10-22 06:00:05

 暗闇の中、巨大な棚がゆっくりとこちらへ傾き始めていた。

「何……?」

 最初は目の錯覚かと思ったが、棚に積まれた木箱がひとつ、またひとつと前へ滑っていく。

「お嬢様、離れて!」

 淳の声が飛んだ。

 次の瞬間、棚の上段から木箱が落下した。

 ドンッ!

「きゃっ!」

 二人の数メートル先で箱が砕け、中に入っていた金属部品が床一面へ飛び散った。

「こっち!」

 淳が瑠理子の手を掴む。逃げようとしたその時だった。

「淳!」

 瑠理子には見えた。

 彼の真上に、棚の最上段から、大きな鉄製のケースが滑り落ちようとしている。淳は気づいていない。

「危ない!」

 考えるより先に、身体が動いた。

 瑠理子は淳へ飛びつくようにして、思いきり彼の身体を押した。

「お嬢様!?」

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